TRENDIA CLASSIC

天津教古文書の批判

狩野亨吉

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第一 緒言

天津教古文書の批判に先だち、私は如何なる因縁で天津教の存在を知つたか、又如何なる必要あつて其古文書を批判するか、この二點に就いて説明して置きたい。

昭和三年五月の末に、天津教信者の某々二氏が拙寓に訪れ、その寶物の寫眞を贈られ、兼てその本據地なる茨城縣磯原へ參詣を勸められた。私は寫眞を一見して、其原物の欺瞞性を感知し甚だ怪しからんことを聞くものかなと思つたが爭ふことを止めて穩に歸した。しかし主なる一人は有力なる金主であると察せられたので、同氏の將來を思ひ、直に書面を以て寫眞に對する愚見を述べ、天津教の警戒すべき所以を知らせた。其後何等の挨拶もないので、この警告が何程利いたか分らない。

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