TRENDIA CLASSIC

女の一生

森本薫

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布引けい    知栄の少女時代

堤 しず    野村精三

伸太郎   職人 井上

栄二    女中 清

総子    刑事一

ふみ    刑事二

章介

知栄

第一幕の一

堤家の焼跡。

昭和二十年十月のある夜。

正面右手寄りに、之だけが完全に残った石燈籠。左手に壕舎の屋根、舞台右手寄りに切石が二つ三つ積んである。高台と見えて地平線の空が月明に明るい。

石燈籠の脇に堤けい、向うむきに坐りこんでいる。じっとして動かない。髪に白いものも多く、戦禍をくぐって来た事とて年よりもぐっとふけて見える。

間。

下手から栄二、けいより一二歳上だが之も最近「或る場所」から出て来たのですこしふけて見える、暫くあたりを見廻しているがけいに気がついて……

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