TRENDIA CLASSIC

冬の王

ハンス・ランド Hans Land

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このデネマルクという国は実に美しい。言語には晴々しい北国の音響があって、異様に聞える。人種も異様である。驚く程純血で、髪の毛は苧のような色か、または黄金色に光り、肌は雪のように白く、体は鞭のようにすらりとしている。それに海近く棲んでいる人種の常で、秘密らしく大きく開いた、妙に赫く目をしている。

己はこの国の海岸を愛する。夢を見ているように美しい、ハムレット太子の故郷、ヘルジンギヨオルから、スウェエデンの海岸まで、さっぱりした、住心地の好さそうな田舎家が、帯のように続いていて、それが田畑の緑に埋もれて、夢を見るように、海に覗いている。雨を催している日の空気は、舟からこの海岸を手の届くように近く見せるのである。

我々は北国の関門に立っているのである。なぜというに、ここを越せばスカンジナヴィアの南の果である。そこから偉大な半島がノルウェエゲンの瀲や岩のある所まで延びている。

あそこにイブセンの墓がある。あそこにアイスフォオゲルの家がある。どこかあの辺で、北極探険者アンドレエの骨が曝されている。あそこで地極の夜が人を威している。あそこで大きな白熊がうろつき、ピングィン鳥が尻を据えて坐り、光って漂い歩く氷の宮殿のあたりに、昔話にありそうな海象が群がっている。あそこにまた昔話の磁石の山が、舟の釘を吸い寄せるように、探険家の心を始終引き付けている地極の秘密が眠っている。我々は北極の閾の上に立って、地極というものの衝く息を顔に受けている。