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TORENDIA

ムツェンスク郡のマクベス夫人

本文約58,900字 ・ 読了時間 約118分

あらすじ(AIが作成しました)

商人の妻カテリーナ・リヴォーヴナは、子供のない裕福な家庭で退屈と孤独に満ちた日々を過ごしている。ある春、夫の不在中に番頭セルゲイと親密になり、やがてその激情は周囲の人間や平穏な日常を巻き込み、彼女を破滅へと導く泥沼の愛憎劇へと発展していく。閉鎖的な商家を舞台に、抑圧された女性の情欲と凶暴性が引き起こす悲劇を描く。

レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov

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毒くわば皿

――ことわざ――

[#改ページ]

ひょっくり出会ったその時から、たとえ長の年つきが流れたにしても、思いだすたんびに鳩尾のへんがドキリとせずにはいられないような――そんな人物に、われわれの地方では時たまお目にかかることがある。商人の妻女のカテリーナ・リヴォーヴナ・イズマイロヴァも、まさしくそうした人物の一人だ。これは、いつぞや怖るべき惨劇をもちあげて、それからこっち土地の貴族連中から、誰やらの減らず口をそのままに、ムツェンスク郡のマクベス夫人と呼びならわされている女である。

カテリーナ・リヴォーヴナは、いわゆる美人じゃなかったけれど、見た目の感じのじつにいい女だった。まだ二十四の誕生日には手のとどかぬ年頃で、小柄ながらもすらりと伸びのいい、まるできれいに磨きあげた大理石のような頸すじをした、肩つきのむっちりとまあるい、胸のふくらみのきりりとしまった、薄手の鼻すじのよくとおった、黒い眼のくりくりした、抜け出るように色白な秀でた額つきをした、おまけにもう一つ、漆黒の――いやそれこそ翠の黒髪とでも言いたいような髪の毛をした、――ざっとまあそうした女である。

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