TRENDIA CLASSIC

ムツェンスク郡のマクベス夫人

レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov

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毒くわば皿

――ことわざ――

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ひょっくり出会ったその時から、たとえ長の年つきが流れたにしても、思いだすたんびに鳩尾のへんがドキリとせずにはいられないような――そんな人物に、われわれの地方では時たまお目にかかることがある。商人の妻女のカテリーナ・リヴォーヴナ・イズマイロヴァも、まさしくそうした人物の一人だ。これは、いつぞや怖るべき惨劇をもちあげて、それからこっち土地の貴族連中から、誰やらの減らず口をそのままに、ムツェンスク郡のマクベス夫人と呼びならわされている女である。

カテリーナ・リヴォーヴナは、いわゆる美人じゃなかったけれど、見た目の感じのじつにいい女だった。まだ二十四の誕生日には手のとどかぬ年頃で、小柄ながらもすらりと伸びのいい、まるできれいに磨きあげた大理石のような頸すじをした、肩つきのむっちりとまあるい、胸のふくらみのきりりとしまった、薄手の鼻すじのよくとおった、黒い眼のくりくりした、抜け出るように色白な秀でた額つきをした、おまけにもう一つ、漆黒の――いやそれこそ翠の黒髪とでも言いたいような髪の毛をした、――ざっとまあそうした女である。