TRENDIA CLASSIC

エリザベスとエセックス

リットン・ストレチー Lytton Strachey

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第一章

イギリスにおける宗教改革は、単に宗教上だけの事件ではない。それは社会的な事件でもあった。中世紀精神のカビが払い落とされると同時に、それにむすびついた革命が、同様の完成度と同様の深達度をもって、俗世の生活にも、権力の座の組織のなかにも起こった。幾世代かにわたってこの世を支配した騎士と僧門は没落し去り、彼らの位置は新しい人間階級に移った。武士でもなく、聖職でもないその階級の、実力もあり活力もある手のうちに、政治の手綱は、そのおいしい利益とともに落ちていったのである。ヘンリー八世の政略の産物であるところの、この驚くべき新興貴族階級は、ついには自分を創ってくれた権力を逆に征服してしまった。王座の人物は影のごとく薄れ、一方で、ラッセル家、カベンディッシュ家、セシル家等々が最高の強固性をもってイギリスを支配し始めた。何世代もの間、これらの貴族がすなわちイングランドであって、彼らを除いてはイングランドの幻想さえ浮んでこないこと、現代においてなお然りである。