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TORENDIA

禾花媒助法之説

本文約2,500字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

明治六年、維納府大展覧会の官員として派遣された筆者は、当地の農学者荷衣白蓮に出会い、受粉を助ける「禾花媒助法」を学ぶ。この手法は蜂蜜を塗った縄で穂をなでる極めて簡易なものだが、実験の結果、米麦の品質向上や大幅な増収をもたらすことが実証された。本書は、この技術がもたらす経済的利益や飢餓防止の可能性を説くとともに、農業の重要性を訴え、全国的な普及と政府の政策的な支援を切に求める論考である。

津田仙

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🎧 禾花媒助法之説 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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明治六年、維納府大展覧会の開場のとき、拙者もその差遣せられた官員の一人でありました。当時〈(そのとき)〉目に触れ、耳に聴くところの利益は、種々様々でありました。

ときに農学〈(アグローム)〉の大家荷蘭人荷衣白蓮〈(ホーイブレング)〉氏という大先生に邂逅しました。これは実に拙者、無上の大幸でありました。幸に先生は維納府外数里の地に住居でありました。拙者一見手を握てほとんど傾蓋の想をなしました。拙者先生に引かれてその住居へ往きました。その後拙者、先生の家に客となり、半年教授を受けました。先生の性質、草木を愛することは、飢渇して飲食を求むるよりも嗜みます。

二十余年前、維典堡〈(ウヰンテンボルグ)〉人西勃土〈(シーボルド)〉氏(訳がありて)荷蘭人となり、わが長崎へ来り、わが邦の草木を欧羅巴へ携え帰り、現今かの諸国に伝播しおるは、おおむね、みな先生の手を経たものであります。西人のわが草木を愛玩し、わが草木を貴重するは、実に先生より始りました。先生の功は、まことに盛なるものではありますまいか。

先生ことさらに日本人を愛します。先生はなはだ親切にして、とくに拙者を眷愛し、先生つねに拙者を日本の愛児〈(デールソン)〉と呼びました。先生晨夕拙者に培養の術を親切に教えました。また試験実地に臨んでは、先生一に必ずその理とその法とを丁寧に講じました。先生つねに倦怠の色は少しも見えませぬ。ゆえに拙者、暫時間幸に先生多年実験するところの大概を覗うことを得ました。実に拙者、無上の大幸とはすなわちこのことであります。先生すでに年七旬に余ります。身体強健、なおよく鋤を執り、畚を荷い、旦暮灌漑して自ずから楽んでおります。いわゆる老而益壮なると申すは、この人の謂でござりましょう。

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