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TORENDIA

新興芸術派に就いての雑談

本文約6,200字 ・ 読了時間 約13分

あらすじ(AIが作成しました)

S・S・F倶楽部の座談会にて、飲酒家のミスター・ウエットと禁酒家のミスター・ドライ、進行役の牧野生の三名が、当時の文壇における「新興芸術派」という呼称や、その潮流に連なる作家たちの作品について論じる。激しい社会の転化の中で発生した新たな芸術観をめぐり、互いの芸術に対する姿勢や、特定の作家の佳作について語り合い、夜明けまで議論が尽きることのない様子を綴る。

牧野信一

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🎧 新興芸術派に就いての雑談 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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S・S・F倶楽部員の座談会。

在席者――小説家ミスター・ドライ。同ミスター・ウエット。同ミスター・S・マキノ。進行及び速記係、牧野生。

S「座談会を始める! といふことになつたら他の倶楽部員達は皆な何処かへ行つてしまつた、一ツ端忙しい用事でもありさうに! 変な奴等だな――。残つてゐるのは飲酒家のW君と禁酒家のD君と、そして、何時も君達二人の仲裁者である僕との三人だけか?」

D「重苦しい顔ぶれだな。」

W「……旅人よ、行きてスパルタ人に告げよ、吾等は国法に従ひて此処に戦死せり、と――おお、テルモピレイの草の露……」

S「おいおい、W君、歌は止めて此方を向かなければいけないよ、座談会だよ。」

D「これだから飲酒党は厭だといふんだ、感情が利己的で……」

W「いつもいつも真面目さうな顔で、偉さうな構へで、厳かな鍵盤を叩いてゐる禁酒党には、云つて聞かせたいことは無限大だが、何よりも先に、真面目な顔で、真面目な車を引いてゐるつもりでも、返つて、それが通らないでも好い凸凹の道に轍を踏み入れてゐるといふ結果になりがちであることに、気づかぬことが多いと思ふのだ。そして、その廻り坂を車をおす、ドライスの汗を――真理の汗ででもあるかのやうに感違ひして……」

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