TRENDIA CLASSIC

ボデー意匠審査会 美術の粹を蒐め獨特の形態美へ

豊田喜一郎

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わが社主催の乘用車車體設計懸賞作品審査會は六月廿日東京帝國ホテルに開催されたが晩餐會席上豐田常務、和田三造畫伯は夫々主客を代表して左の如き挨拶を交換、わが國自動車車體の將來に關し重大な示唆を與へた。

本日は御多忙中の處、小社の企てに御賛同下されました御厚意を幾重にも御禮申し上げます。

私は此の數年來より自動車工業の確立に就いて關心して居りましたが、實地に自動車の製作に着手したのは三年以前の事でしたが、近々乘用車を發表致しますに就き、其の後の乘用車の設計プランを如何にするかと云ふ問題に自然逢着した次第であります。

皆樣御承知の樣に、多年の懸案であつた自動車製造事業法案も愈々議會を通過致しました事は、啻私達自動車工業に携つてゐる者のみの喜びとする所ではありません。

由來自動車工業は難事業とされてゐます。從つて自動車工業こそ絶對に一等國でなければ企て得ない物とさへ稱されて居ります。一等國と謂へば、我が國は世界に隱れもなき一等國として自他共に許してゐますが、唯一此の一等國の事業である自動車工業だけが、文字通り全く閑却せられてゐたのであります。

幸にして此の自動車工業の不毛地とされてゐた我が國にも關係法案が通過し官民擧げてこの事業の成長發達に資して行く氣運の喚起されました事は、私達としましても欣快此の上なき事と存じ、併せて此れに携つてゆく者の責任の重大さを痛感しないわけにゆきません。私は勿論一個の機械製作者の立場として、一刻も早く完全な車を祖國の地上を走らせ度いと日夜念願致して居るのであります。此れと同時に、私は自動車に含まれてゐる美術的方面を考慮しないわけにゆきませんでした。單に製作技術に於て外國車を凌駕してゆくのみならず、此の車體の意匠や設計方面にも斷然日本獨特の美術的要素を創造し發揮したいと考へた次第であります。

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