河の上の職場
本文約560字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
河波が激しく打ち寄せる河の上の鉄骨工事現場で、蒸気鉄槌の響きが労働者の体を震わせる。親方の怒号が響く中、飢えと疲労に追い詰められた労働者たちは、対岸のバラック街と結ぶための橋を架けようと、冷酷な鉄骨林の上で過酷な作業に従事する。本作は、機械的な破壊音と労働者の心臓を押しつぶすような過酷な現場の空気感、そしてその中でうごめく人々の生の営みを鮮烈な描写で綴る。
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黒い水面が時々石炭の切れ口のように、ギラギラと河波の照りかえし、 中ひざまでせきとめられ、八本のミキサコンクリトがけの鉄骨に、 歯をむきだし、 カプリと、 背筋をひきちぎる音波をうって、揺れてゆく河――
脳味噌をぶち砕くような、のたうつ肚の底までピリピリと震動さす響。
八尺胴切の鉄骨、首もとからねじられ、下の合首まで、蒸気鉄鎚のするどい拍車の折返えしを喰って、へどをはきキャップを平ッぺに曳きこまれる。 ほうろ下駄歯に列組んだ鉄骨。 でっかい削炎に虫のような泥声をはく親方、 火のような熱いなまりが、ガワンーガワンーと打ちさげらるる破壊的な響に混って、断続として、飢えと、疲れにうごめく労働者の胸板に飛びこんでくる、 強烈にはじける、赤さびた鉄骨林の上、棒立につったって、けらのような「笑い」を噛み殺した顔、 片っ腹をしみ合し、一尺巾の足台に、ぐっと呼吸を掘りさげ、業をにやした胸くそ、 その場にたたきつけてやりたい悪びれが、頭のさきから足の裏まで、冬の牙をとがらし、古茶びんの貪婪さで、鶴嘴のような冷めたさがひやりと湧きたって、鉄骨の胴のなかへダニのようにからみ。
艶のない鉄骨 カプリと河波のんで、一日、労働者の心臓をもみつぶして、対岸のバラック街と一直線に結ぶため、あらゆる食欲をひきちぎる。 (『文学案内』一九三五年十二月号に発表)
完