TRENDIA CLASSIC

休日に

藪田忠夫

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胸一杯に吸いこんだ空気 甘い甘い麦のかおり 何故となくきれぎれに思い出てはあとかたもなく消えて行く 幼ない時の楽しい思い出 一月目に見る村の麦畑の何んと伸々と変っていることだろう 風呂敷包を下げ 胸をふくらせ 休日の久方ぶりに 村の本道を帰って来た私 おしつけてもおしつけても湧き上って来る此のうれしさ

休み日ごとに 家に故里に かえりたい心は せき上げて来る潮のように 体中をかけめぐり 考えも感情も何もかも ぎりぎりと巻きからめてしまうけれど―― ああ お母さん 貴女はもう私を待ち兼ねているだろう おいしく ふつふつと味噌汁をたいて私を待ちかねているだろう 一生貨車馬のように 野良と台所で働き通し 何の楽しみもなく年老いて行った 私のおかあ