TORENDIA
ゆづり葉
河井酔茗
TORENDIA
ゆづり葉
本文約410字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
新しい葉に命を譲って落ちてゆく譲り葉の木になぞらえ、世の親たちがいのちあるものすべてを子供たちに譲り渡していくのだと語りかける河井酔茗の詩。
速度
🎧 ゆづり葉 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 1
子供たちよ。 これは譲り葉の木です。 この譲り葉は 新しい葉が出来ると 入れ代つてふるい葉が落ちてしまふのです。
こんなに厚い葉 こんなに大きい葉でも 新しい葉が出来ると無造作に落ちる 新しい葉にいのちを譲つて――。
子供たちよ。 お前たちは何を欲しがらないでも 凡てのものがお前たちに譲られるのです。 太陽の廻るかぎり 譲られるものは絶えません。
輝ける大都会も そつくりお前たちが譲り受けるのです。 読みきれないほどの書物も みんなお前たちの手に受取るのです。 幸福なる子供たちよ お前たちの手はまだ小さいけれど――。
世のお父さん、お母さんたちは 何一つ持つてゆかない。 みんなお前たちに譲つてゆくために いのちあるもの、よいもの、美しいものを 一生懸命に造つてゐます。
今、お前たちは気が附かないけれど ひとりでにいのちは延びる。 鳥のやうにうたひ、花のやうに笑つてゐる間に気が附いてきます。
そしたら子供たちよ もう一度譲り葉の木の下に立つて 譲り葉を見る時が来るでせう。
完