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TORENDIA

心のゆくところ(一幕)

本文約10,900字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

五月祭の前夜、アイルランドの家庭で古い本を読んでいた新妻メリイは、年老いることもなく真面目な生活を強いられることもないフェヤリイの世界に惹かれる。家の人々や神父は彼女を懸命に引き留め、平凡な日常と信仰の大切さを説くが、彼女の心は次第に現実の生活から離れていく。やがて森から現れた不思議な子供の誘いに応じるように、彼女は自らの意思でその世界へと踏み出し、夫の腕の中から消え去る。人間の魂が魔の霊によって奪われる様を描く物語。

ウイリヤム・バトラ・イエーツ

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[#ページの左右中央]

人

マアチン・ブルイン  父

ブリヂット・ブルイン 母

ショオン・ブルイン  マアチンの子

メリイ・ブルイン   ショオンの妻

神父ハアト

フェヤリイの子供

遠いむかし

アイルランド、スリゴの地、キルマックオエンの領内にあったこと

[#改ページ]

部屋の右の方に深い凹間がある、凹間の真中に炉。凹間には腰掛とテイブルあり、壁に十字架像がある。炉の火の光で凹間の中が明るい。左手に戸口、戸があいている、その左に腰掛。戸口から森が見える。よるではあるが、月かあるいは夕日の消え残ったうすあかりか樹々のあいだにほのかなひかりがあって、見る人の眼をとおくのぼんやりした不思議な世界にみちびく。マアチンとショオンとブリヂットの三人が凹間のテイブルの側や火の側に腰かけている。古いむかしの服装。その側に神父ハアト腰かけている。僧服をつけて。テイブルの上に食物と酒。

若き妻メリイ戸のそばに立って本を読んでいる。彼女が本から眼をあげて見れば戸口から森の中まで見えるのである。

[#改ページ]

ブリヂット

夕食の支度に鍋を洗えといいますと

屋根うらからあんな古い本を出して来ました

それから読みつづけております。

神父様、彼女をほかの人たちのように働かせましたら

どんなに苦しがったり泣いたりいたしましょう

わたしのように夜明から起きて縫いものをしたり掃除をしたり

また、あなたのように尊いお器と聖いパンをお持ちになって

あらい夜も馬でお歩きになる、そのようにしろといいましたら

ショオン

お母さん、あなたはやかまし過ぎる ブリヂット

お前は夫婦だから

彼女の気に逆うまいと思って、彼女の味方ばかりする

マアチン (神父ハアトに[#「ハアトに」は底本では「ハトアに」]向って)

若いものが若い者の味方をするのは当前で

彼女は時々わたしの家内と喧嘩もやります

今はあのとおり古い本に夢中になっていますが

しかしあまりお叱り下さるな、彼女もいまに

木に生えたやぶだまのように静かになりましょう

新婚の夜の月が夜明になりやがて消えて

それを十遍もくり返しているうちには

ハアト

彼等の心は荒い

鳥どもの心と同じように、子供が生れるまでは

ブリヂット

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