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TORENDIA

兎と亀

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

兎と亀のどちらが早いかという議論から戦争の危機が生じ、決着をつけるために五百ヤードの競走が開催される。兎は圧倒的な速度を見せるが、亀を相手に走ることの馬鹿々々しさに嫌気がさし、途中で何度も腰を下ろしてしまう。一方、亀は着実に歩みを進め、最終的に勝利を収める。本作は、この競走の経緯と、その後亀が語り継ぐ勝利の理由を皮肉な視点から描き、真実が歴史から失われていく様を綴る。

ロオド・ダンセイニ

速度
🎧 兎と亀 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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兎と亀と、どっちが早いかということは、長い間、動物仲間のうちで問題になっていました。

あるものは、もちろん兎の方が早いさと言います。兎はあんなに長い耳を持っている。あの耳で風を切って走ったら、ずいぶん早く走れるに違いないと。

しかしまた、あるものは言うのです。いいや、亀の方が早いさ。なぜって、亀の甲良はおそろしくしっかりしているじゃアないか。あの甲良のようにしっかりと、どこまでも走って行くことが出来るよと。

そう言って、議論しているばかりで、この問題はいつまでたっても、けりがつきそうもありませんでした。

そして、とうとう動物たちの間には、その議論から一戦争はじまりそうなさわぎになったので、いよいよふたりは決勝戦をすることになりました。兎と亀とは、五百ヤードの競走を行って、どっちが早いかを、みんなの動物たちに見せるということになりました。

「そんな馬鹿々々しいことはいやですよ。」

と、兎は言いました。が、彼の味方たちは一生懸命兎を説きふせて、ともかくも競走に出ることを承知させました。

「この競走は大丈夫、私の勝ですよ。私は兎みたいにしりごみなどはしませんよ。」

と、亀は言いました。

亀の味方は、どんなにそれを喝采したことでしょう。

競走の日は、まもなくやって来ました。敵も味方も、いよいよ勝敗の決する時が近づいたので、口々に大声でどなり立てました。

「私は大丈夫勝ってみせますよ。」

と、亀はまた言いました。

が、兎は何にも言いませんでした。彼はうんざりして、ふきげんだったのです。そのために、兎の味方の幾人かは彼を見すてて、亀の方につきました。そして、亀の大威張りな言葉を、大声で喝采しました。

が、兎の味方は、まだだいぶたくさんありました。

「おれたちは、兎がまけるようなことは、どうしたってないと思う。あんなに長い耳を持っているんだから、勝つに違いないよ。」

彼等[#「彼等」は底本では「彼」]は、口々にそう言っていました。

「しっかり走ってくれ。」

と、亀の味方は言いました。

そして「しっかり走れ」という言葉を、定り文句のように、皆は口々にくりかえしました。

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