南蛮寺門前
本文約15,100字 ・ 読了時間 約31分
あらすじ(AIが作成しました)
永禄末年の京都、四条坊に位置する南蛮寺の門前に、奇妙な噂と不安が漂う。不気味な門内の様子を覗き見る童子や、道すがらの母子、舞妓の白萩など、様々な人々が行き交う。やがて門扉を打ち鳴らす男や、教義の対立から内部で衝突する学僧たちが現れ、不可思議な力に魅せられた所化の長順が舞妓の白萩に見守られながら、自らの内に秘めた想いを吐露するまでを描く物語。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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登場人物
童子、順礼等 舞妓白萩
千代 伊留満喜三郎
常丸 学頭
菊枝 所化長順
老いたる男及び行人二三 所化乗円、其他学僧
うかれ男 老いたる侍
永禄末年のこと。但風俗は必しも史実に拠らず、却つて今人の眼に親うするものとす。秋の日、暮がた。後景は京都四条坊なる南蛮寺の高き石垣。そが中ほどよりやや上手に寄りて門。その扉開かれてあり。門内の広場に木立、そを透きて仄かに堂見ゆ。門前の街道に童子等集る。
童子等。(唄。)
夕やけ小やけ。
摩訶陀の池の
さんしよの魚は
きらきら光る。
玻璃のふらすこ
ちんたの酒は
きらきら光る。
鐘が鳴る。鐘がなる。
寺の御堂の
十字の金は
きらきら光る。
年少き姉妹の順礼御詠歌うたひながら下手より登場。姉なるは盲目なり。
姉の順礼 (程よき所に立留り、もの怪しむ気はひ。)何やら怪しい音がするがのう。この近くに海でもあるかいのう。 妹の順礼 何の、姉や。京の都には海があるもんかの。 姉の順礼 そんなら河の音か。そや無けりや風かいのう。わしや滅相草臥れた。今日の宿はまだかいなあ。 妹の順礼 そやつて姉や。嚮からまだ一里とも来やせぬわ。 姉の順礼 何処ぞで歌うたふ声が聞えるやうやのう。 妹の順礼 姉や。此処は立派な寺やんどの。何様ぢや知らぬけれども拝んで行かうよ。 姉の順礼 さうかいな。お寺ならば善う拝んで行かうのう。 姉妹門内を覗ひつつ、