TORENDIA
俺の記
尾崎放哉
TORENDIA
俺の記
本文約20,900字 ・ 読了時間 約42分
あらすじ(AIが作成しました)
御江戸日本橋の隅に立つ老朽化した自治寮を舞台に、人間たちにランタンと名付けられた存在が、寮生活の日常やそこに集う学生たちの議論、夜の仕事での経験を綴る。人間社会の理屈や仮定に疑問を抱きつつ、喜怒哀楽の差引勘定が零であるという独自の視点から、学生たちとの交流や寮内での生活を回想する。正体不明のランタンという独自の語り手を通して、学生たちの議論や寮の半自治的な状況を描き出す。
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俺には名前がない、但し人間が付けてくれたのは有るが、其れを云ふのは暫く差控へて置かう。
だが、何も恥かしいので云はぬと云ふわけでは毛頭ない。云ひにくいから云はないのだ。外になんにも理窟はない、冬になれば雪が降る、夜になれば暗くなる、腹が減つたら食ふのだ、一体、理窟と云ふ物も、あとから無理に拵へてクツ付けるので、なす事、する事、始めから一一理窟で割り出して来る物ではない。
余計な事は抜きとして、処で、俺は今年で丁度三つになつた。とは、人間なみに云つて見たので、俺の世界には歳も何も有つた物ではない。元日が大晦日だらうが、大晦日が元日ならうが、とんと、感じの無い方だ。