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TORENDIA

母の話

本文約5,300字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

ジャンセエニュ先生の学校へ通う生徒たちは、算術の計算や聖書の話を学びます。ある日、ロジェら五人の少年が友人の家へ向かって歩き出しますが、足の速い四人は歩みの遅い末っ子のエチエンヌを置いてきぼりにします。道中で蛙を見つけた少年たちは、約束を破って草原へ追いかけ、沼にはまり込んで靴や足を泥だらけにします。一方、懸命に追いかけてきたエチエンヌだけは綺麗な足のまま、泥だらけで家へ帰る少年たちの姿を目にします。

アナトール・フランス

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🎧 母の話 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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前がき

アナトール・フランスは本名をアナトール・チボーといい、フランスでも第一流の文学者であります。千八百四十四年、パリの商家に生まれ、少年の頃から書物の中で育ったといわれるくらい沢山の本を読みました。それもただ沢山の本を読んだというだけでなく、昔の偉い学者や作家の書いた本を実に楽しんで読んだのです。

彼は、詩、小説、戯曲、評論、伝記、その他いろいろなものを書きましたが、すべて、立派な作品として長く残るようなものが多く、中でも、小説と随筆とには、世界的な傑作が少なくありません。

ここにのせた「母の話」は、その追憶風の小説『ピエール・ノジエール』の中の一章で、これだけ読めばアナトール・フランスがみんなわかるというようなものではありませんけれど、まずまず、どんな人か見当がつくでしょう。

非常に物しりですが、わざわざむずかしいことをいわない。なんでもないことをいっているようで、よく読んでみると、なかなか誰にでもいえないことをいっている。ちょっと皮肉なところがありますが、優しい微笑をたたえた皮肉で、世の中の不正や醜さに、それとなく鋭い鋒先を向けています。

何よりも、力み返ること、大声を立てることが嫌いです。どんなことでも、静かに話せばわかり、また、静かに話し合わなければ面白くないという主義なのです。

熱情も時には素晴らしい仕事をさせる武器ですが、冷静は常に物の道理を考えさせる唯一の力です。

アナトール・フランスは、また、世界で屈指の名文家です。文章は平明で微妙で調子が整っていて、その上自然な重々しさをもっています。これを澄んだ泉の水にたとえた人がいますが、実際フランス語でこれを読むと、もう百倍も美しい文章だということがわかります。

千九百二十四年、すなわち大正十三年に、彼は死にました。これで一時代が終わったといわれるほど大きな事件でありました。(訳者)

「わたしには、どうも想像力っていうものがなくってね。」と、母はよくいったものだ。

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