TRENDIA CLASSIC
太陽の子
福士幸次郎
1 / 28
明治四十二年――大正二年
製作の時期
兄と母に
此の作集を獻ずる
自序
今この詩集を出版するに就いて自分は何にも言はないで出すに忍びない氣がする。何ぜなら此の詩にある心持の凡ては悉く嘗て自分の全生命を盡くして踏んで來た片身だからだ。一歩進めて言へば自分の詩集に自分の序を附けると言ふことは、その制作品の足りない所を補足するやうなものでをこがましい氣がするが、自分の生活は此等の詩と一々ついて離れず進んで來たものであるから、今として見ればその時々の自分の心理に立入つて考へることが出來、又その心理全體を突き貫く自分の心の祕奧、即ち自分の生れると共に持つて來た生の欲求も明示することが出來る。自分は今此の詩全體を生ませるに至つた自分の此の潜流を此の序文であらはにしようと思ふ。