TORENDIA
千ヶ寺詣
北村四海
TORENDIA
千ヶ寺詣
本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
越後国市振村に住む癩病の血統の娘は、宿命を背負い千ヶ寺詣の旅に出る。やがて病を得て帰郷し他界するが、その後、冬の夜に樵夫の老爺が語る怪異を描く。子供たちを囲む炉端で、老爺は突然立ち上がり窓の外へ向かって話しかける。戻ってきた老爺の手には、先立ったはずの娘が残したという白衣と納経が握られていた。実見談として語り継がれる、雪深い夜の不可解な出来事を綴る。
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🎧 千ヶ寺詣 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏
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現今私の家に居る門弟の実見談だが、所は越後国西頸城郡市振村というところ、その男がまだ十二三の頃だそうだ、自分の家の直き近所に、勘太郎という樵夫の老爺が住んでいたが、倅は漁夫で、十七ばかりになる娘との親子三人暮であった、ところがこの家というのは、世にも哀れむべき、癩病の血統なので、娘は既に年頃になっても、何処からも貰手がない、娘もそれを覚ったが、偶然、或時父兄の前に言出でて、自分は一代法華をして、諸国を経廻ろうと思うから、何卒家を出してくれと決心の色を現したので、父も兄も致方なく、これを許したから、娘は大変喜んで、早速まだうら若き身を白衣姿に変えて、納経を懐にして、或年の秋、一人ふいと己の故郷を後にして、遂に千ヶ寺詣の旅に上ったのであった、すると、それから余程月日も経ったが、不幸にも娘は旅の途中、病を得て家に帰って来たが、間もなく、とうとう此度は、あの世の旅の人となってしまった、父や兄の悲歎は申すまでもなかったが、やがて、質素な葬式も済してそれも終った。
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