本文へ移動
TORENDIA

虱とるひと

本文約320字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

むずがゆい額の幼子の髪を、姉たちがしなやかな指でやさしく探る情景に、恐ろしくも心惑わす官能をにじませる、ランボーの詩。

アルテュル・ランボオ

速度
🎧 虱とるひと / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

むづがゆき額を赤めをさな兒は

それとなき夢の白き巣立をねがふ時、

爪しろがねに指細きふたりの姉は

たをやかに寢臺近く歩みよる。

青天の光、咲き亂れたる花に注ぐ

明け放ちたる窓のそばに幼兒を抱き行きて

露ふりかゝるその髮の毛のなかに

美しく、恐ろしく又心迷はする指は動きぬ。

ふたりの息のこわごわに出入るをきけば

花の如く、草木の如きかをりして、

又折節は喘ぐ聲。口に出づるを

嚥み込みし片唾の音か、接吻の熱き願か。

香よき寂寞のなか、二人の黒き睫は繁叩き

えれきの通ふ細指はうつらうつらと、

貴なる爪の下にこそぷつと虱をつぶしけれ。

時しもあれや、徒然の醉は稚き心に浮び、

狂ほしきハルモニカの吐息の如く

姉が靜かになづさはる其愛撫に小休なく

湧き出でゝまた消えはつるせつなき思。

完

アルテュル・ランボオの他の作品

同じジャンルの朗読つきの本