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TORENDIA

醉ひどれ船

本文約1,900字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

曳舟の綱手から解放された無人の船が、荒れ狂う大河を下り、非情な海へと漂流する様子を描く。船は嵐や神秘的な自然、極彩色の光景を巡り、水死者や未知の生物と遭遇しながら、果てしない大海のただ中をゆく。詩人は、束縛を逃れ、天や海と一体化して漂う孤独な魂の姿を写し出し、欧州の沼地へ戻ることへの拒絶と、果てなき放浪の果てに海に身を委ねようとする情念を綴る。

アルテュル・ランボオ

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🎧 醉ひどれ船 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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われ非情の大河を下り行くほどに

曳舟の綱手のさそひいつか無し。

喊き罵る赤人等、水夫を裸に的にして

色鮮やかにゑどりたる杙に結ひつけ射止めたり。

われいかでかかる船員に心殘あらむ、

ゆけ、フラマンの小麥船、イギリスの綿船よ、

かの乘組の去りしより騷擾はたと止みければ、

大河はわれを思ひのままに下り行かしむ。

荒潮の哮りどよめく波にゆられて、

冬さながらの吾心、幼兒の腦よりなほ鈍く、

水のまにまに漾へば、陸を離れし半島も

かかる劇しき混沌に擾れしことや無かりけむ。

颶風はここにわが漂浪の目醒に祝別す、

身はコルクの栓よりも輕く波に跳りて、

永久にその牲を轉ばすといふ海の上に

うきねの十日、燈臺の空けたる眼は顧みず。

酸き林檎の果を小兒等の吸ふよりも柔かく、

さみどりの水はわが松板の船に浸み透りて、

青みたる葡萄酒のしみを、吐瀉物のいろいろを

わが身より洗ひ、舵もうせぬ、錨もうせぬ。

これよりぞわれは星をちりばめ乳色にひたる

おほわたつみのうたに浴しつつ、

緑のそらいろを貪りゆけば、其吃水蒼ぐもる

物思はしげなる水死者の、愁然として下り行く。

また忽然として青海の色をかき亂し、

日のきらめきの其下に、もの狂ほしくはたゆるく、

つよき酒精にいやまさり、大きさ琴に歌ひえぬ

愛執のいと苦き朱みぞわきいづる。

われは知る、霹靂に碎くる天を、龍卷を、

寄波を、潮ざゐを。また夕ぐれを知るなり。

白鳩のむれ立つ如き曙の色も知るなり。

人のえ知らぬ不思議をも偶には見たり。

神祕のおそれにくもる入日のかげ、

紫色の凝結にたなびきてかがよふも見たり。

古代の劇の俳優が並んで進む姿なる

波のうねりの一列がをちにひれふるかしこさよ。

夜天の色の深みどりはましろの雪のまばゆくて

靜かに流れ、眼にのぼるくちづけをさへゆめみたり。

世にためしなき靈液は大地にめぐりただよひて

歌ふが如き不知火の青に黄いろにめざむるを。

幾月もいくつきもヒステリの牛小舍に似たる

怒濤が暗礁に突撃するを見たり、

おろかや波はマリヤのまばゆきみあしの

いきだはしき大洋の口を箝し得ると知らずや。

君見ずや、世にふしぎなるフロリダ州、

花には豹の眼のひかり、人のはだには

手綱のごとく張りつめし虹あざやかに染みたるを、

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