TRENDIA CLASSIC

新憲法の解説

山浦貫一

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序  新日本建設の基礎となる新憲法は、國民の眞摯なる※[#「執/れんが」、U+24360、1-2]意と自由なる意思により、第九十議會を通じて成立した。

新日本の世界に於ける平和的使命と文化國家としての出發は茲に始まり、全世界は大なる關心を以て之を見守るであらう。之がためにはまづ國民大衆のすべての人が、この新憲法を讀むことである。理解することである。國民的教典として親しむことである。

今囘たまたま新聞人山浦貫一君の筆を通じて新憲法解説の書が作成上梓されることになつた。その内容と形體においてわれわれの要請を充分に滿たしてくれるものと信ずる。

民主主義憲法は國民の總意によつて作られたと同時に國民の總意によつて解釋せらるべきであることは言ふを俟たない。この書の出版がこの國民的期待の方向をめざしてまづ力強き第一歩を踏み出す意味において喜びと期待とを新にする次第である。

昭和二十一年十一月吉田茂 [#改ページ]

序  私は世にも珍らしい幸運者であつた。今囘の改正憲法の議會審議に當り、百餘日に亘つて、兩院の有力なる議員諸君と共に、論議を交換し、或る時は氷よりも冷かなる態度を以て法理の徹底を計り、或る時は熔鐵よりも※[#「執/れんが」、U+24360、2-4]き心意氣に乘つて運營の將來を痛論した。

斯くして日々の檢討に依り改正案の有する各面を内外表裏より事細かに考へた。そしてこれこそは日本國が遲かれ早かれ踏み行かねばならぬ大道を端的に明示するものであり、これに依つて進むことのみが日本國民に負はされた必然の運命であるとの確信を、いやが上に深めた。此の樣な立場に置かれた一身を顧みるとき、此の憲法改正に關連して前述の如く多數の識者に依り斯くも廣く斯くも強く心を開發せられたことは、世にも稀な幸運に惠まれた者と言ふの外に何の言葉があらうぞ。以上は現下の私の心境であるが、これにつけても、國民諸君が速に此の憲法の本體に親しみ、之と融合し、言はば之と一體と爲り、歴史の導く新なる段階に、全身を歡喜に震はせて、突入せられんことを希望して止まない。

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