本文へ移動
TORENDIA

道楽と職業

本文約17,100字 ・ 読了時間 約35分

あらすじ(AIが作成しました)

明石の地で講演に立った講師が、道楽と職業の定義や関係性、現代における職業の分化と混乱を論じる。秀才であっても自分に合う職業を見つけることが難しい現状を指摘し、社会の分業化が進む中で人間が片輪化する懸念を説く。芸術家や学者は、自身の内発的な衝動を重んじる道楽的側面を本職として生きており、外圧によって本分を歪めることはその存在を損なうことと同義であると主張する。

夏目漱石

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 15

ただいまは牧君の満洲問題――満洲の過去と満洲の未来というような問題について、大変条理の明かな、そうして秩序のよい演説がありました。そこで牧君の披露に依ると、そのあとへ出る私は一段と面白い話をするというようになっているが、なかなか牧君のように旨くできませぬ。ことに秩序が無かろうと思う。ただいま本社の人が明日の新聞に出すんだから、講演の梗概を二十行ばかりにつづめて書けという注文でしたが、それは書けないと言って断ったくらいです。それじゃアしゃべらないかというと、現にこうやってしゃべりつつある。しゃべる事はあるのですが、秩序とか何とかいう事が、ハッキリ句切りがついて頭に畳み込んでありませぬから、あるいは前後したり、混雑したり、いろいろお聴きにくいところがあるだろうと思います。ことにあなた方の頭も大分労れておいででしょうから、まずなるべく短かく申そうと思う。

私の申すのは少しもむずかしいことではありません。満洲とか安南とかいう対外問題とは違って極やさしい「道楽と職業」という至極簡単なみだしです。内容も従って簡単なものであります。まあそれをちょっとわずかばかり御話をしようと思う。

夏目漱石の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本