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TORENDIA

自転車日記

本文約8,300字 ・ 読了時間 約17分

あらすじ(AIが作成しました)

異国で暮らす留学中の青年は、下宿先の老婆の命令により自転車の練習を始める。自転車屋で調達した老朽化した車体と、同行する教師の指導に振り回されながら、坂道からの直滑降や往来での奮闘を繰り広げる。転倒を繰り返す苦闘の中で、周囲の巡査や通行人との予期せぬ交流を経験し、いつしか上達の兆しを見せ始める。本作は、西洋の地で自転車に悪戦苦闘する一人の東洋人の日常と、周囲の人間模様をユーモラスな筆致で綴る。

夏目漱石

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西暦一千九百二年秋忘月忘日白旗を寝室の窓に翻えして下宿の婆さんに降を乞うや否や、婆さんは二十貫目の体躯を三階の天辺まで運び上げにかかる、運び上げるというべきを上げにかかると申すは手間のかかるを形容せんためなり、階段を上ること無慮四十二級、途中にて休憩する事前後二回、時を費す事三分五セコンドの後この偉大なる婆さんの得意なるべき顔面が苦し気に戸口にヌッと出現する、あたり近所は狭苦しきばかり也、この会見の栄を肩身狭くも双肩に荷える余に向って婆さんは媾和条件の第一款として命令的に左のごとく申し渡した、

自転車に御乗んなさい

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