ルバイヤート
本文約15,300字 ・ 読了時間 約31分
あらすじ(AIが作成しました)
十一世紀から十二世紀のペルシアの詩人オマル・ハイヤームによる四行詩集を収める。科学者でもあった著者の深い思索と懐疑の精神を反映し、無常観や一瞬の生を慈しむ心情を綴る。本書はペルシア語原典から厳選した一四三首を、「解き得ぬ謎」から「一瞬をいかせ」まで八つの主題に分類して構成する。イギリスのフィツジェラルドによる名訳を経て全世界で愛読されるに至った、世界文学の古典的作品である。
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まえがき
ここに訳出した『ルバイヤート』(四行詩)は、十九世紀のイギリス詩人フィツジェラルド Edward FitzGerald の名訳によって、欧米はもちろん、広く全世界にその名を知られるにいたった十一-十二世紀のペルシアの科学者、哲学者また詩人、オマル・ハイヤーム Omar Khayym('Umar Khaiym[#「Kh」に下線])の作品である。
フィツジェラルドが、一八五九年にその翻訳を自費出版で初版わずかに二五〇部だけ印刷した時には、若干を友人に分けて、残りはこれを印刷した本屋に一冊五シリングで売らせたのであったが、当時はいっこうに人気がなく、いくら値を下げても買手がつかないので、ついには一冊一ペニイの安値で古本屋の見切り本の箱の中にならべられる運命となった。出版してから三年ばかり後のこと、ラファエル前派の詩人ロゼッテイの二人の友人が、散歩の途次偶然、埃に埋もれたこの珍しい本を発見して、彼にその話をした。ロゼッテイは同志の詩人スウィンバーンと一緒に件の店に出かけて行って、ちょっとその本を覗いただけで直ちにその価値を認め、おのおの数冊ずつ買って帰った。翌日彼らは友人に贈るためになお数冊買うつもりでまたその店へ行ったが、店の者は前には一冊一ペニイだったのを今度は二ペンスだと言った。ロゼッテイは怒りと諧謔をまぜた抗議口調でその男に食ってかかったが、結局二倍の値段で少しばかり買って立ち去った。それから一、二週間後には残りの『ルバイヤート』の値段は一躍一ギニイにも跳ね上ったという。