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TORENDIA

農民芸術概論綱要

本文約2,600字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

農民として生きる著者が、近代科学と直観の融合を通じて、より明るく生き生きとした生活と新たな美を追求する道を論じる。労働を芸術の力で燃やし、個々の生活を宇宙的な意識に基づいた巨大な芸術へと高める必要性を説く。芸術は一部の特権的なものではなく、すべての農民が感受し創造するものであると定義し、地、人、個性が通ずる生活そのものを芸術として実践する独自の芸術論を展開する。

宮沢賢治

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🎧 農民芸術概論綱要 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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序論

……われらはいっしょにこれから何を論ずるか……

おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい

もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい

われらの古い師父たちの中にはさういふ人も応々あった

近代科学の実証と求道者たちの実験とわれらの直観の一致に於て論じたい

世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない

自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する

この方向は古い聖者の踏みまた教へた道ではないか

新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある

正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである

われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道である

農民芸術の興隆

……何故われらの芸術がいま起らねばならないか……

曾つてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きてゐた

そこには芸術も宗教もあった

いまわれらにはただ労働が 生存があるばかりである

宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷く暗い

芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した

いま宗教家芸術家とは真善若くは美を独占し販るものである

われらに購ふべき力もなく 又さるものを必要とせぬ

いまやわれらは新たに正しき道を行き われらの美をば創らねばならぬ

芸術をもてあの灰色の労働を燃せ

ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある

都人よ 来ってわれらに交れ 世界よ 他意なきわれらを容れよ

農民芸術の本質

……何がわれらの芸術の心臓をなすものであるか……

もとより農民芸術も美を本質とするであらう

われらは新たな美を創る 美学は絶えず移動する

「美」の語さへ滅するまでに それは果なく拡がるであらう

岐路と邪路とをわれらは警めねばならぬ

農民芸術とは宇宙感情の 地 人 個性と通ずる具体的なる表現である

そは直観と情緒との内経験を素材としたる無意識或は有意の創造である

そは常に実生活を肯定しこれを一層深化し高くせんとする

そは人生と自然とを不断の芸術写真とし尽くることなき詩歌とし

巨大な演劇舞踊として観照享受することを教へる

そは人々の精神を交通せしめ その感情を社会化し遂に一切を究竟地にまで導かんとする

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