TRENDIA CLASSIC

ウィリアム・ウィルスン

エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe

1 / 35

[#ページの左右中央]

それをなんと言うのだ? わが道に立つかの妖怪、恐ろしき良心とは?

チェインバリン(1)「ファロニダ」

[#改ページ]

さしあたり、私は自分をウィリアム・ウィルスンという名にしておくことにしよう。わざわざ本名をしるして、いま自分の前にあるきれいなページをよごすほどのことはない。その私の名前は、すでにあまりにわが家門の侮蔑の――恐怖の――嫌悪の対象でありすぎている。怒った風は、その類いなき汚名を、地球のはてまでも吹き伝えているではないか? おお、恥しらずな無頼漢のなかの無頼漢! ――現世にたいしてお前はもう永久に死んでいるのではないか? その名誉にたいして、その栄華にたいして、その燦然たる大望にたいして? ――そして、濃い、暗澹とした果てしのない雲が、とこしえにお前の希望と天国とのあいだにかかっているのではないか?

エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poeの他の作品