TRENDIA CLASSIC
長篇作家として
のマクシム・ゴ
ーリキイ
宮本百合子
1 / 4
作品をよんだ上での感想として、ゴーリキイが中篇小説において長篇小説よりすぐれた技術、味いを示し得ていることを感じるのは恐らくすべての読者の感想ではないでしょうか。もしかすると、短篇が更にそこに横溢している生活感情や色彩熱量などの点で卓抜であるというひともいないではないでしょう。例えば「二十六人と一人」「チェルカッシュ」などを愛読したひとは。
ゴーリキイが、あらゆる点で豊富なテムペラメントを持っていたにかかわらず、極めて特色的ではあるが長篇作家として十分技術上の光彩を発揮し得なかったことは、興味深い研究心を刺戟します。最も基本的な原因は、ゴーリキイの作風が、自分の雰囲気で濃く描こうとする現実をつつみ込む性質であったからだろうと思われます。リアリストであり、客観的に現実を描こうとしていても、それは、描かれたものがそのものの独自性で作品の現実関係の中に立ち現れて来て、そこに錯綜した交渉を生じ、発展させてゆく(トルストイの作風)ような性質ではなく、情景も人物も、そのものとして色濃いながらいかにもそれはゴーリキイ風なと特徴づけられる種類の、総括的雰囲気にくるまれたものである。ゴーリキイは感受性の鋭い、智的というより感覚的な作家であって、目撃した人間の微細な動作、声や目の感じなど鋭利にとらえているけれども、人間と人間との輪廓、人間と人間との間に生じている遠近法などの把握では、常に何か茫漠としている。そういう部分がゴーリキイ的な地色で塗られている。色は多様で燦いているが輪廓が鮮明に動いていないところは、どこやらビザンチン式モザイックの趣があり、過去のロシアの民衆の内部にあった感受性の或る傾向を示すものではなかろうかと考える折があります。
宮本百合子の他の作品
TRENDIA CLASSIC
男…は疲れてい
る
宮本百合子
男…は疲れている
宮本百合子 ・ 約5分
TRENDIA CLASSIC
きょうの写真
宮本百合子
きょうの写真
宮本百合子 ・ 約1分
TRENDIA CLASSIC
結婚相手の性行
を知る最善の方
法
宮本百合子
結婚相手の性行を知る最善の方法
宮本百合子 ・ 約1分
TRENDIA CLASSIC
「現代百婦人録
」問合せに答え
て
宮本百合子
「現代百婦人録」問合せに答えて
宮本百合子 ・ 約2分
TRENDIA CLASSIC
戦争・平和・曲
学阿世
宮本百合子
戦争・平和・曲学阿世
宮本百合子 ・ 約1分
TRENDIA CLASSIC
ソヴェト「劇場
労働青年」
宮本百合子
ソヴェト「劇場労働青年」
宮本百合子 ・ 約5分
TRENDIA CLASSIC
婦人民主クラブ
について
宮本百合子
婦人民主クラブについて
宮本百合子 ・ 約1分
TRENDIA CLASSIC
「愛怨峡」にお
ける映画的表現
の問題
宮本百合子
「愛怨峡」における映画的表現の問題
宮本百合子
TRENDIA CLASSIC
愛
宮本百合子
愛
宮本百合子
TRENDIA CLASSIC
「愛と死」
宮本百合子
「愛と死」
宮本百合子
TRENDIA CLASSIC
合図の旗
宮本百合子
合図の旗
宮本百合子
TRENDIA CLASSIC
愛と平和を理想
とする人間生活
宮本百合子
愛と平和を理想とする人間生活
宮本百合子