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TORENDIA

誰のために

本文約5,900字 ・ 読了時間 約12分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の民主化という課題に対し、知識人が歴史的任務を自覚していない現状を論じる。近代文学の歴史をふまえ、戦争中の権力による知性への抑圧が現在の知識層に与えた苦悩と停滞を分析する。特に、民主主義への懐疑的な心理や、階級性を無視した抽象的な人間復興論が蔓延する状況を批判する。真の知性とは、歴史的な事態の意味を弁別し、勤労階級と協力して封建的な重圧から解放されるための合理的な道を選択することであると説く。

宮本百合子

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🎧 誰のために / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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今日、日本の民主化の課題に対して、日本のインテリゲンツィアが感じている最も大きい困難は、どういう性質のものだろうか。

ひとくちに云いあらわせば、それは、日本のインテリゲンツィアの非常に大部分のひとが、自分たちめいめいの一生にとって、日本の民主化がどんなに血肉的な影響をもつものであるかという事実をまだ実感としていない点であり、同時に、民主主義社会の建設のために、インテリゲンツィアは、歴史の上からもどの位重大な任務を負うているかということを、十分自覚していない点にあると思う。

日本のインテリゲンツィアの性格は、よかれあしかれ、今日において独特であり、他の国のインテリゲンツィアとちがう複雑性をもっている。それは、日本の明治からの精神史をかえりみればよくわかる。日本のインテリゲンツィアの苦悩は、いつでも、その時代と人とのうちにある進歩的な要素と封建的な要素との相剋であった。どんな文学者でも、その作家が真率な生活感情と時代感覚をもっていれば、その相剋は作品にも歴然とあらわれたし、その生死にもかかわって来ていた。透谷、二葉亭、独歩、漱石、鴎外、芥川龍之介、有島武郎、小林多喜二などの例が、それぞれの形で、この事実を語っている。

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