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TORENDIA

みのりを豊かに

本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

ラジオの全波聴取が解禁された夜、筆者はアナウンサーの人間的な感動と解放の喜びに触れ、長年抑圧されてきた情報の自由を痛感する。しかし、当時の日本の技術水準では全波受信機の普及は難しく、通信や鉄道といった社会基盤の不備や生産技術の低さが浮き彫りとなる。本書は、ラジオという日常的な事象を通じて、戦後の日本社会が抱える非効率さと、それらを変革し現実のものとするために求められる自省と努力を論じる。

宮本百合子

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🎧 みのりを豊かに / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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やっと、ラジオの全波が聴けるということになった。

そのことが放送されたのは、九月下旬の或夜であった。田舎の家で、雑音だらけのラジオながら、熱心に九時のニュースをきき、世界の動きが身に伝わる感じでいたら、それにつづいて、局からのお知らせを申上げます、と全波聴取のことが告げられた。

日本のラジオが、今日まで国内放送しか聴かれず、全波は禁止されており、それを聴くことは犯罪として見られたということは、諸外国に例のない野蛮な文化に対する抑圧であった。しかし、この十数年間の民衆の実生活は全般にわたって、その細目に及ぶまで余り切りつまり、自由を失い、発言の力がなかったから、ましてやラジオなどについては、日本のラジオは、こういうものとしてうけ入れていたように思う。もしかしたら、「日本のラジオ」という世界文化に対して考えれば極りのわるいその不具性さえ、一般の人々には明瞭に意識されてさえいなかったかもしれない。それほど、世界に向ってひらかれているべき私たちの眼、耳、そして知識と心情とは根本から封鎖されていたのである。

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