現代史の蝶つがい
本文約9,000字 ・ 読了時間 約19分
あらすじ(AIが作成しました)
アメリカ大統領選挙におけるトルーマンの勝利は、世論調査機関の予測を覆し世界に衝撃を与えた。世論調査の背後に潜む労働者階級の意志と調査手法の限界を論じ、大衆の選択が歴史を動かす鍵となることを示す。この教訓を背景に、自身の政策を持たず民衆の支持を蔑ろにする日本の政党政治の在り方を批判し、民主的な社会において民衆が自らの意志を持ち、監視し続けることの重要性を説く。
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こんどのアメリカ大統領選挙でトルーマンが勝利したことは、デューイをおどろかしたばかりでなく、日本の一部のジャーナリストをだいぶめんくらわせたらしかった。日本時間で十一月四日の午前、トルーマン当選確定となったあと、東京のあちこちの印刷屋に駈けつけてとりいそぎ目下進行中の新年号の雑誌の特輯の中から大統領ときめこんでとりあつかったデューイの、或はデューイ氏に関する記事のさしかえをしなければならなかった雑誌社がいくつかあったということだった。それがでたらめの噂でなかった証拠には、トルーマンの当選が確認された翌五日、『朝日新聞』には、『主婦之友』が先ばしりの悲喜劇をあらわにして、特派記者による奇蹟的会見記という特報でデューイ夫妻会見記を仰々しく広告している。このでんで、『主婦之友』は戦争中は半分ほのめかされたことさえまるままの一つとしてのみこんで婦人を戦争にかりたて、軍部御用に精励した、あのころのことも思い出された。
アメリカに、いくつかの世論調査機関がある。なかでも、ギャラップ博士の米国世論調査所は、日本でも或る種の権威をもって見られて来た。リーダーズ・ダイジェストをはじめ、日本人が日本で出す新聞や雑誌でも、アメリカの世論統計を引用する場合には、しばしばギャラップの世論調査をつかい、ギャラップの調査の科学性と確実性とが語られた。