本文へ移動
TORENDIA

「伸子」創作メモ(二)

本文約2,700字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

ある女性が夫との夫婦生活の葛藤や自身の病、自立への迷いを綴った創作メモ。二人の間の不和や、夫の病状に対する複雑な感情、別居や離婚をめぐる葛藤が赤裸々に記される。また、関東大震災をはじめとする社会の動乱の中で、精神的に追い詰められながらも、自立した生活や真実の愛の形を追い求める姿を描く。作者の私生活と心理状況が交錯し、一人の女性が主体性を確立しようとする心の変遷を詳細に記録している。

宮本百合子

速度
🎧 「伸子」創作メモ(二) / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 4

三月二十七日―四月十三日 自分台処で。きみは林町にやるスエ子の送り迎えのため

博覧会 父の到着(父への話。今月は二つも三つも小説を書いたから大変都合がよい)

滞在 泉岳寺、第二会場、万国街 青山墓地で倒れたこと。プリンス of Wells の歓迎門などを見る。

Aと林町 自分

○ひとが居た方がよい心持

○友達のこと、

○教授のこと。

○肉感のことも。

考え余りAと別々に暮すことをもち出す。A、田舎に引こんで 何も彼もすててしまうと云う。人を教えるものが妻と別れて平気で顔向けが出来るかという

七月八日 坪内先生へ手紙

足の工合がわるい

一人での生活をしたい心、そのときのことを楽しく空想する

七月二十二日 順天堂に通う。

A大阪に立つ、自分翌日一人俥で来る 永い別れのような心持。いらっしゃいな。いや。わざわざ自分ゆく

「わざわざ来たの?」

二十三日 林町の連中安積に立つ

○云うまい、云うまい、辛い、一思いにさしたい。云い出すと、要求ばかりになる辛さ

七月二十五日 九時頃 坪内先生が来て下さる。

奈良から鹿のハガキ

カーターの魔術を見に(七月三十日)祖母をつれてゆかれる父

八月六日 九十五度 西村さん、

自分のヒステリー的傾向。

十日にかえる。自分辛く、顔を見るのが苦痛。うまく笑えず H、A、

西村、「二三度斯ういうことをくりかえして居るうちに、年をとってしまう人かな」涙をながす

若し再び生きてかえれるなら、自分は忻んで死ぬ、死んで、この苦しい境遇をかえ、新しい芽のように、新生涯をふみ出すだろう。

八月十三日 A、淋しいから林町からかえれ、という。

八月十八日 那須に十一時の夜行で立つ。車中、五六人の東山行の団隊、丸い六十近いおどけ男、しきりに仲間にいたずらをする。紙切を結びつけたりして。

宮本百合子の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本