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TORENDIA

探偵小説の魅力

本文約4,300字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

犯罪や秘密の解明に潜む本能的な快感と、その魅力の源泉を論じる。ある刑事が語る過酷な仕事への愛着と、秘密が暴かれる瞬間の興奮から、読者が探偵小説に惹かれる理由を考察する。また、冒険小説に親しんだ少年時代の記憶や、ルブラン等の作品への愛読を交え、虚構のロマンスとしての探偵小説に求められる科学的要素やトリックの妙味について解説し、さらには実際の不可解な事件例を提示して、物語の創作に挑む読者へ向けて探偵小説の面白さを伝えている。

南部修太郎

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ある時、Wと云ふ中年の刑事が私にこんな事を話し聞かせた。

『探偵と云ふ仕事はちよつと考へると、如何にも面白さうな仕事らしく見えます。然し、その性質如何に拘らず、一體人の犯罪乃至は祕密を探し尋ねて、それを白日にさらし出すと云ふ事はあんまり好い氣持のするものぢやありません。ましてそこには人知れぬ非常な苦心骨折があり、ひよつとすると命のあぶないやうな危險にも出會はなければならず、世間の人達からは妙に無氣味らしい眼を向けられると云ふやうな譯で、可成りつらい、厭やな仕事です。で、自分でも始終心にさう思ひ、人にもついそれを訴へたくなる時があります。然し、私はこの仕事に從ふやうになつてからもうかれこれ十五六年になりますが、そんな風でゐながら、心の底ではやつぱりこの仕事が好きなんですね。なぜつて、自分がこの仕事から全く縁が切れてしまふ場合を想像してみると、何だか生きてる甲斐もなくなつてしまひさうな寂しい氣持がするんです。人間も全く勝手な、妙なもんですなあ。』

私は彼の仕事に對する氣持が私の文學の仕事に對する氣持とちよつと似通つてゐる事にひそかな興味を覺えながら、だまつて耳を傾けてゐた。彼はまた詞を續けた。

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