TRENDIA CLASSIC
白瓜と青瓜
長塚節
1 / 9
庄次は小作人の子でありました。彼の家は土着の百姓であります。勿論百姓といふものが一旦落ちついた自分の土地を離れて彷徨ふといふことはよく/\の事情が起らない限りは決してないことであります。自分に土地を所有する力の無いものは他の土地を借りて作物を仕付ます。そして相應に定められた金錢や又は米や麥の收獲の一部を地主へ納めるのであります。此が小作料であつて、私の間に授受されて居る租税であります。それで小作人の懷にする處は其の收獲のうちから自分の食料までも減じて見ると、立派な體格を有つた一人の働きが實際何程にも當らないのであります。然し彼等は四季を通じて殆んど田畑の仕事にばかり屈託して居るのですから衣類の節約が極端に行はれて居ます。それから食料というても、第一には鹽を買ふ外には自分の手で作つた物で十分に滿足することが出來ます。それからどんな姿にでも雨戸が有れば住むに事を缺くことはないのであります。
恁んな状態でありますから消極的な身の持方をして居れば案外に苦勞のない生活がして行けるのであります。彼等には幸にも非望を懷くものはありません。彼等の身體が鍛錬された鐵のやうである如く、彼等の心にも頑強な或物があつて彼等を抑制して居て呉れるのであります。
長塚節の他の作品
TRENDIA CLASSIC
壱岐国勝本にて
長塚節
壱岐国勝本にて
長塚節
TRENDIA CLASSIC
鉛筆日抄
長塚節
鉛筆日抄
長塚節
TRENDIA CLASSIC
芋掘り
長塚節
芋掘り
長塚節
TRENDIA CLASSIC
記憶のまゝ
長塚節
記憶のまゝ
長塚節
TRENDIA CLASSIC
簡易銷夏法
長塚節
簡易銷夏法
長塚節
TRENDIA CLASSIC
痍のあと
長塚節
痍のあと
長塚節
TRENDIA CLASSIC
おふさ
長塚節
おふさ
長塚節
TRENDIA CLASSIC
撃剣興行
長塚節
撃剣興行
長塚節
TRENDIA CLASSIC
草津行
長塚節
草津行
長塚節
TRENDIA CLASSIC
栗毛虫
長塚節
栗毛虫
長塚節
TRENDIA CLASSIC
開業醫
長塚節
開業醫
長塚節
TRENDIA CLASSIC
才丸行き
長塚節
才丸行き
長塚節