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TORENDIA

重右衛門の最後

本文約41,800字 ・ 読了時間 約84分

あらすじ(AIが作成しました)

東京の速成学館に通う青年は、同郷の友人たちと親交を深めながら、ある信州の村で起きた自暴自棄に陥った男・重右衛門にまつわる騒動を目の当たりにする。放火事件が多発する閉鎖的な村の情景と、自然の力に抗えない人間の運命を青年自身の体験として綴る。

田山花袋

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一

五六人集つたある席上で、何ういふ拍子か、ふと、魯西亜の小説家イ、エス、ツルゲネーフの作品に話が移つて、ルウヂンの末路や、バザロフの性格などに、いろ/\興味の多い批評が出た事があつたが、其時なにがしといふ男が急に席を進めて、「ツルゲネーフで思ひ出したが、僕は一度猟夫手記の中にでもありさうな人物に田舎で邂逅して、非常に心を動かした事があつた。それは本当に、我々がツルゲネーフの作品に見る魯西亜の農夫そのまゝで、自然の力と自然の姿とをあの位明かに見たことは、僕の貧しい経験には殆ど絶無と言つて好い。よく観察すれば、日本にも随分アントニイ、コルソフや、ニチルトッフ、ハーノブのやうな人間はあるのだ」と言つて話し出した。

二

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