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TORENDIA

ジーキル博士とハイド氏の怪事件

本文約73,600字 ・ 読了時間 約148分

あらすじ(AIが作成しました)

ロンドンの弁護士アッタスンは、友人エンフィールドから、小柄な男が少女を踏みつけ平然と立ち去るという異様な光景を聞かされる。時を同じくして、アッタスンの知人であるジーキル博士の周囲では、正体不明のハイドという男の影や、博士の異常な言動が頻発する。召使のプールは主人の変容に恐怖を覚え、アッタスンは博士の書斎に隠された謎と、人間の内に秘められた二重性の正体に近づいていく。

スティーヴンスン Stevenson Robert Louis

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キャサリン・ディ・マットスに

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神が結んだ紲は解かぬがよい。

わたしたちはやはりあのヒースと風の子でありたい。

ふるさと遠く離れていても、おお、あれもまたあなたとわたしのためだ。

エニシダが、かの北国に美しく咲き匂うのは。

[#改ページ]

戸口の話

弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなくて、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来ないものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。しかし他人にはえらく寛大で、人が元気にまかせて遊びまわるのを、さも羨ましげに、驚嘆することもあった。そして、彼らがどんな窮境に陥っている場合でも、とがめるよりは助けることを好んだ。「わたしはカインの主義*が好きだよ、」と、彼はよくこんな妙な言い方をするのだった。「兄弟が自分勝手に落ちぶれてゆくのを見ているだけさ。」こんな工合だから、堕落してゆく人たちには最後まで立派な知人となり、最後までよい感化を与える者となるような立場にたつことは、よくあった。そして、そういう人々に対しても、彼らが彼の事務所へ出入りしている限り、ちっともその態度を変えなかった。

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