TRENDIA CLASSIC
漱石さんのロン
ドンにおけるエ
ピソード
土井晩翠
1 / 7
夏目夫人、――「改造」の正月号を読んで私が此一文を書かずには居れぬ理由は自然に明かになると思ひます、どうぞ終まで虚心坦懐に御読み下さい。
漱石さんが東京帝国大学英文学の卒業生で私共の先輩であつたことは曰ふ迄もありません。『英国詩人の天地山川に対する観念』などを『哲学雑誌』で田舎書生が驚嘆の目に読んだのは三十余年の昔です。そして此渇仰の大家の風貌に初めて接したのは『塩釜街道に白菊植ゑて何を聞く聞く、ソリヤ便りきく』の名邑を去る一里余、あやめが浦の海水浴場地の一ホテルに於てでした。『夏目君が……館に来てゐる、先輩に対する礼としてでも往訪するんだが同伴しないか』と私を誘うて下すつたのは同じく英文科の先輩(目下二高の教頭)玉虫一郎一さんでした、同郷の秀才で後同じく英文科に学んだが惜いかな中途で斃れた秀才渡辺芳治君も亦同伴されたと記憶します。『天風海濤』と誰やらの書いた額のある室で、初めて受けた印象は寡言で厳粛な、奥深さうな学者と曰ふに過ぎません、何等の委細のお話を承る機会なしに直ぐ其ホテルをお去りになつたからであります。
土井晩翠の他の作品
TRENDIA CLASSIC
「イーリアス」
例言
土井晩翠
「イーリアス」例言
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
小桜姫物語
土井晩翠
小桜姫物語
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
「雨の降る日は
天気が悪い」序
土井晩翠
「雨の降る日は天気が悪い」序
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
隨筆 藪柑子
土井晩翠
隨筆 藪柑子
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
新詩發生時代の
思ひ出
土井晩翠
新詩發生時代の思ひ出
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
野口英世博士の
生家を訪ひて
土井晩翠
野口英世博士の生家を訪ひて
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
晩翠放談「自序
」
土井晩翠
晩翠放談「自序」
土井晩翠
TRENDIA CLASSIC
天地有情
土井晩翠
天地有情
土井晩翠