醜い家鴨の子
本文約10,500字 ・ 読了時間 約22分
あらすじ(AIが作成しました)
牛蒡の葉の陰に作られた巣で、他の兄弟とは異なる姿で生まれた一羽の雛鳥を描く。周囲の家鴨たちから容姿を理由に執拗な迫害を受けた鳥は、安住の地を求めて過酷な旅を続ける。やがて冬を越したある日、池で水面に映る自らの姿を見た鳥は、自分がかつて忌み嫌った醜い家鴨ではなく、高潔な白鳥であることを知る。孤独と苦難の果てに、真の仲間たちから祝福を受け、ありのままの自分として幸福を見出すまでの成長の物語である。
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それは田舎の夏のいいお天気の日の事でした。もう黄金色になった小麦や、まだ青い燕麦や、牧場に積み上げられた乾草堆など、みんなきれいな眺めに見える日でした。こうのとりは長い赤い脚で歩きまわりながら、母親から教わった妙な言葉でお喋りをしていました。
麦畑と牧場とは大きな森に囲まれ、その真ん中が深い水溜りになっています。全く、こういう田舎を散歩するのは愉快な事でした。
その中でも殊に日当りのいい場所に、川近く、気持のいい古い百姓家が[#「百姓家が」は底本では「百性家が」]立っていました。そしてその家からずっと水際の辺りまで、大きな牛蒡の葉が茂っているのです。それは実際ずいぶん丈が高くて、その一番高いのなどは、下に子供がそっくり隠れる事が出来るくらいでした。人気がまるで無くて、全く深い林の中みたいです。この工合のいい隠れ場に一羽の家鴨がその時巣について卵がかえるのを守っていました。けれども、もうだいぶ時間が経っているのに卵はいっこう殻の破れる気配もありませんし、訪ねてくれる仲間もあまりないので、この家鴨は、そろそろ退屈しかけて来ました。他の家鴨達は、こんな、足の滑りそうな土堤を上って、牛蒡の葉の下に坐って、この親家鴨とお喋りするより、川で泳ぎ廻る方がよっぽど面白いのです。
しかし、とうとうやっと一つ、殻が裂け、それから続いて、他のも割れてきて、めいめいの卵から、一羽ずつ生き物が出て来ました。そして小さな頭をあげて、
「ピーピー。」
と、鳴くのでした。
「グワッ、グワッってお言い。」
と、母親が教えました。するとみんな一生懸命、グワッ、グワッと真似をして、それから、あたりの青い大きな葉を見廻すのでした。
「まあ、世界ってずいぶん広いもんだねえ。」
と、子家鴨達は、今まで卵の殻に住んでいた時よりも、あたりがぐっとひろびろしているのを見て驚いて言いました。すると母親は、
「何だね、お前達これだけが全世界だと思ってるのかい。まあそんな事はあっちのお庭を見てからお言いよ。何しろ牧師さんの畑の方まで続いてるって事だからね。だが、私だってまだそんな先きの方までは行った事がないがね。では、もうみんな揃ったろうね。」