銀河鐵道の夜
本文約43,300字 ・ 読了時間 約87分
あらすじ(AIが作成しました)
活版所で働くジョバンニは、孤独と困窮の中にありながら、星祭の夜に銀河鉄道の旅を経験する。旅路で出会う人々との対話や、鳥捕りの光景などを通じて、存在の儚さと歴史の広大さに触れる。夢と現実が交錯する中で、本当の幸福とは何かを問い直した彼は、自身の進むべき道を見出し、再び現実の世界へと走り出す。日常の寂しさの中に、切なる願いと未来への決意を抱き、真っ直ぐに歩み続けようとする少年の姿を描く物語である。
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一 午後の授業
「ではみなさん、さういふふうに川だと云はれたり、乳の流れたあとだと云はれたりしてゐた、このぼんやりと白いものが何かご承知ですか。」
先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の圖の、上から下へ白くけぶつた銀河帶のやうなところを指しながら、みんなに問ひをかけました。
カムパネルラが手をあげました。それから四五人手をあげました。ジヨバンニも手をあげようとして、急いでそのままやめました。
たしかにあれがみんな星だと、いつか雜誌で讀んだのでしたが、このごろはジヨバンニはまるで毎日教室でもねむく、本を讀むひまも讀む本もないので、なんだかどんなこともよくわからないといふ氣持がするのでした。
ところが先生は早くもそれを見附けたのでした。
「ジヨバンニさん。あなたはわかつてゐるのでせう。」
ジヨバンニは勢よく立ちあがりましたが、立つて見るともうはつきりとそれを答へることができないのでした。ザネリが前の席から、ふりかへつて、ジヨバンニを見てくすつとわらひました。ジヨバンニはもうどぎまぎしてまつ赤になつてしまひました。
先生がまた云ひました。
「大きな望遠鏡で銀河をよつく調べると銀河は大體何でせう。」
やつぱり星だとジヨバンニは思ひましたが、こんどもすぐに答へることができませんでした。
先生はしばらく困つたやうすでしたが、眼をカムパネルラの方へ向けて、
「ではカムパネルラさん。」と名指しました。
するとあんなに元氣に手をあげたカムパネルラが、もぢもぢ立ち上つたままやはり答へができませんでした。
先生は意外のやうにしばらくぢつとカムパネルラを見てゐましたが、急いで、
「では。よし。」と云ひながら、自分で星圖を指しました。
「このぼんやりと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星に見えるのです。ジヨバンニさんさうでせう。」