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TORENDIA

〔せなうち痛み息熱く〕

本文約430字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

待合室で汽車を待つ、かつて権勢を誇った村長の孫や、落魄した商人、そして儚げな娼婦の姿を、それぞれの孤独とともに見つめる宮沢賢治の詩。

宮沢賢治

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🎧 〔せなうち痛み息熱く〕 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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せなうち痛み息熱く

待合室をわが得るや

白き羽せし淫れめの

おごりてまなこうちつむり

かなためぐれるベンチには

かつて獅子とも虎とも呼ばれ

いま歯を謝せし村長の

頬明き孫の学生を

侍童のさまに従へて

手袋の手をかさねつゝ

いとつゝましく汽車待てる

外の面俥の往来して

雪もさびしくよごれたる

二月の末のくれちかみ

十貫二十五銭にて

いかんぞ工場立たんなど

そのかみのシャツそのかみの

外套を着て物思ふは

こゝろ形をおしなべて

今日落魄のはてなれや

とは云へなんぞ人人の

なかより来り炉に立てば

遠き海見るさまなして

ひとみやさしくうるめるや

ロイドめがねにはし折りて

丈なすせなの荷をおろし

しばしさびしくつぶやける

その人なにの商人ぞ

はた軍服に剣欠きて

みふゆはややにうら寒き

黄なるりんごの一籠と

布のかばんをたづさへし

この人なにの司ぞや

見よかの美しき淫れめの

いまはかなげにめひらける

その瞳くらくよどみつゝ

かすかに肩のもだゆるは

あはれたまゆらひらめきて

朽ちなんいのちかしこにも

われとひとしくうちなやみ

さびしく汽車を待つなるを

完

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