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TORENDIA

日本の釣技

本文約10,900字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

都市居住者の間で流行する釣りを題材に、日本独自の釣技やその歴史的背景を論じる。かつて生活の糧であった漁とは異なり、現代の釣りは繁忙な日常の反動として愛される有閑的なスポーツへと変容した。著者は海や川に恵まれた日本ならではの竹竿を用いた繊細な釣りの楽しみ方を説き、釣徒同士で情報を共有し、自然と闘いながら清く正しく技術を磨く「釣道精神」の確立を提唱する。四季を通じて魚の習性を研究し自然の懐へ飛び込む喜びを伝える。

佐藤惣之助

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一

最近都市居住者の中に、恐ろしい勢ひをもつて流行してゆくものの一つに「釣り」がある。そして一部の識者の間には、釣りをスポーツ化せよの叫びがありスポーツ天国、釣り味を高唱する人さへ出て来た。

臨海国としての日本が、その周囲にスポーツ味のある釣りを、今更発見したやうに騒ぎ立てるのも妙であるが、元来遊釣といふものがその生活環境とよく同化してゐて、何等の特殊な感興も認めず、永い間やつて来たので、全く今日のやうに人々の興味を惹くことが少なかつたに起因してゐる。誰しも子供の時には鮒ぐらゐ釣つてゐる。ハゼやタナゴも釣つてゐるので、釣技といふものは決して珍らしいものではない。そこで何だ、釣りかといふ事になつて、釣りをする程人々が有閑的で無くなつた。ところが最近は又生活が極度に忙しくなつて、人間が事務的、機械的になると、その反動でこの原始的で有閑味のある「釣り」が恋しくなり、土曜、日曜には、一日ゆつくり谿谷や海上で「釣り」を楽しまうといふ人々が続出して来た。

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