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TORENDIA

取返し物語

本文約13,800字 ・ 読了時間 約28分

あらすじ(AIが作成しました)

室町時代末期の近江国琵琶湖畔を舞台に、蓮如上人の親鸞聖人御影像を巡る確執を描く戯曲。新築された山科の御影堂に影像を迎えようとする門徒らに対し、三井寺側は返還を拒む。かつて大谷の御廟所を焼かれた因縁と報復の連鎖が危ぶまれる中、蓮如は門徒の殺伐とした振舞いを戒め、漁師頭の源右衛門とその息子・源兵衛ら信仰に生きる人々の姿を通して、末法の世における救いと信心の本質を問いかける。

岡本かの子

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前がき

いつぞやだいぶ前に、比叡の山登りして阪本へ下り、琵琶湖の岸を彼方此方見めぐるうち、両願寺と言ったか長等寺と言ったか、一つの寺に『源兵衛の髑髏』なるものがあって、説明者が殉教の因縁を語った。話そのものが既に戯曲的であったので劇にしたらと思い付いて、其後調べの序に気を付けていると、伝説として所々に出ている。此のたび機会があったのでまとめてみた。伝説には三井寺はもっと敵役になっているが、さまではと和げて置いた。

一たい歌舞伎劇の手法は、筋の運び方と台詞のリズムに、原理性の表現主義を持っていて、ものに依っては非常に便利なものである。

滅ぼしてしまうのは惜しい。此の戯曲には可なりそれを活用してみた。

時 文明十一年十一月(室町時代末期) 処 近江国琵琶湖東南岸 人 蓮如上人  浄土真宗の開祖親鸞聖人より八代目の法主にして、宗門中興の偉僧。世に言う「御文章」の筆者。六十九歳。 竹原の幸子坊  上人常随の侍僧。 堅田の源右衛門  堅田ノ浦の漁師頭。六十二歳。多少武士の血をひいて居る。 同源兵衛  源右衛門の息子。二十三歳。 おさき  源右衛門妻。五十四歳。 おくみ  孤児の女中、もと良家の娘、源兵衛の許嫁。十八歳。 円命阿闍梨  三井寺の長老。 三井寺の法師稚児大勢。 その他、村の門徒男女大勢。

第一場

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