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TORENDIA

初期詩篇

本文約680字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

遠ざかる太陽を見つめる「天外脱走」、真昼の海で幻聴に包まれる「海に眠る日」、隅田川で心慰める「小唄」のほか、青年期の焦燥や孤独、自己の内面的な昂ぶりを記した「断片」を収める。十六歳から十八歳にかけて綴られたこれらの詩群は、若き詩人の鋭敏な感性と、永遠や海、旅路といった象徴的なモチーフを通して、青春特有の痛切な心情や魂の彷徨を鮮烈に描き出す。

原口統三

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天外脱走

日輪は遠く逃げゆく

有明けの天上ふかく

日輪は遠ざかりゆく

仰ぎ見よ暁闇の空

罪びとの涙もしるく

薄冥の雲間に凍り

日輪は遠く消えゆく

一九四三・十二・三十一 [#改ページ]

海に眠る日

海に溶け込む太陽だ   ランボオ

かれは真昼の海に眠る。

茫洋たる音楽のみどりに触れあう はるかな

蜃気楼の奥深くかれは眠る

あふれる香髪のみだれ巻いて溺れるあたり

とおく水平線の波間にさ青の太陽は溶けこむ。

そうして はるばると潮の流れる耳もとちかく

かれは一つのなつかしい言葉をきく

お兄さん! お兄さん! お兄さん……

ああ こんな恍惚の夢のような日は

どこの海辺で待っているのか

昭和十九年五月三十一日向陵時報 [#改ページ]

小唄

水のほとりに立てば

こころなぐさむ

わがうらぶれの姿さえ

やさしげにうかみいづるを

(注) 「隅田川のほとりに立ちて清岡学兄と共に歌える小唄」。原稿なし。清岡卓行の記憶による。一七九ページ(注)五参照。清岡卓行については略年譜および一八七ページ(注)四参照。

断片

俺の涙が出ないから

お前を一つひっぱたいて

お前の落とす涙に酔おうと

そう思って俺は――

(エチュード・十七歳の詩)

…………

ひとり怒りに耐え

かの遠き秋をゆかむ。

…………

(エチュード・十八歳の詩) …………

夜明けの海はまだ暗く

夢の中に 幻の城は聳えていた

…………

(エチュード) (注)「暁の使者」の断片。原詩は次の「永劫への旅」と共に一高同窓会雑誌『枯葉』に投稿、同誌は校正刷りのまま戦災に遇い、原稿は散佚した。

かつてはおれの胸の中にも 驕りの花はひらいていた。

かつてはおれの額の上にも

勇ましい流浪のあらしは吹き荒れていた、

(エチュード・「永劫への旅」より)

完

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