日本出版協会論
本文約8,900字 ・ 読了時間 約18分
あらすじ(AIが作成しました)
戦後三年を経過してもなお、戦時中の統制権力を温存し、独裁的な支配を続ける日本出版協会の実態を論じる。戦時統制時代の遺産を引き継ぎ、用紙割当という権力を盾に専制的に振る舞う協会に対し、著者はその矛盾と弊害を厳しく批判する。出版業界の健全な民主化を阻害する存在として、いかに協会が解体・再建されるべきかを自身の脱会に至る経緯を交えて綴る。出版行政と組織のあり方に鋭く切り込んだ評論である。
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「あなたの方の出版協会というのはいつもゴタ/\揉めているようですが、どうしたというんですか?」
こういって訊ねる人もある。しかしそういう人はどういうものかおおむね素人に限られているようである。素人に解ってもらうのは並大抵のことではないし、内容が複雑すぎるものだから、心苦しいが言葉を濁していつも逃げるよりほかなかった。ところで不思議なことに、多少とも文化とか出版とかに関心を持っていそうな人は、何と思ってか余り問題にしないことである。たまたま話題に上る場合にも、「醜態」の一語に片づけてしまって歯牙にかけようとしないのである。
およそ世間では、問題の筋が通ってその核心が掴める間は話題にも上り論議もされるが、何が何だか訳が解らなくなると興味の関心からはずれて来るものらしい。民主再建の大切な事業をよそにして権力と利慾の争奪に終始しているような今の出版界の現状では、大抵の者が愛想をつかすのも無理はないと思う。私どもも終戦以来まる三年、随分根気よく我慢して来たつもりだが、とうとう我慢がしきれなくなって飛び出してしまった。飛び出したというより、ハミ出したという方が適当かも知れない。で、この機会に私は、戦時中われわれの受けた体験と戦後三年間の経過を基にして、日本出版協会がいかにあり、また如何にあらねばならないかを検討し、ややもすれば見失おうとするその正体を見極わめて見ようと思う。この国の知識人には見放され、読書人には軽蔑され、しかもわれわれ業界人をまでも置き去りにして、日本出版協会は果たしてどこへゆこうとしているのであろうか。
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