将来の日本
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あらすじ(AIが作成しました)
徳富猪一郎による本書は、世界の大勢を察し古今の歴史を徴した上で、平民主義による社会のあり方を論じる。公道正義を国家の大本とし、武備を生産へ、圧抑を自治へ転換し、貴族的社会から平民的社会への変革を提唱する。さらに、国民が各自の生を楽しみ得る国家を目指すという深い愛国の意を綴る。著者の卓越した論旨と文章により、当時の世に大きな反響を呼び、将来の日本が歩むべき方針を明示する一冊である。
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余が友徳富猪一郎君さきに『将来の日本』と称する一冊子を編著し、これを余に贈り、あわせて余の一言を求めらる。余不文といえども君と旧交のあるあり。あにあえて君の好意を空しゅうすべけんや。余これを読み、その第一回より第十六回に至る、毎回あたかも新佳境に入るの感なきあたわず。けだしその論や卓々、その文や磊々、余をしてしばしば巻をおおい覚えず快哉と呼ばしめたりき。それ君の著書たる、広く宇内の大勢を察し、つまびらかに古今の沿革に徴し、いやしくも天意の存するところ、万生の望むところ、早晩平民主義をもって世界を一統すべくこれに抗するものは亡び、これにしたがうものは存し、一国民一個人のよくその勢いに激し、その力に敵すべからざるを説き、これを過去現今の日本に論及し、ついに将来の日本を図画し、その取らざるべからざる方針を示すに至り筆をとどむ。
これを要するに、君の図画するところは他なし。すなわち公道正義をもって邦家の大本となし、武備の機関を一転して生産の機関となし、圧抑の境遇を一変して自治の境遇となし、貴族的社会を一掃して平民的社会となすにあり。しかして君の論旨中含蓄するところの愛国の意は全国を愛するにあり。全国を愛するは全国民をしておのおのその生を楽しみそのよろしきを得せしむるにあり。これ実に君の活眼大いにここに見るところあり。満腔の慷慨黙々に付するに忍びず、ただちにその血性をべ発して一篇の著書とはなりしなり。しかしてこの書初めて世に公布する客年十一月にあり。いまだ四ヵ月を経ざるにすでに再版に付し、またこれを三版に付せんとす。なんぞそれ世人購求の神速にして夥多なるや。けだし君が論鋒の卓々なるによるか、はたその文章の磊々なるによるか。しかりしこうして余は断じていわん。君がこの論を吐く徒論にあらず。君がこの文を作る徒文にあらず。天下の志士汲々これを読む徒読にあらず。これ天下大勢のしからしむるゆえんなり。ああこれ天下の大勢今すでにここに至れるなり。
明治二十年二月
西京 新島襄
完