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TORENDIA

将来の日本

本文約580字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

徳富猪一郎による『十九世紀の青年及び教育』の刊行に際し、著者との交流や人物評、本書の執筆背景を田口卯吉が序文として綴る。西洋の理学と中国の道徳が両立し難いという主旨を論じ、若き著者の文才と思想への期待を込めた。同時に、功名心に溺れることなく初心を持ち続けることの重要さを説き、自らの経験を重ね合わせながら執筆の顛末を明かすことで、次世代の書き手に向けた助言と警告を収める。

田口卯吉

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徳富猪一郎君は肥後熊本の人なり。さきに政党の諸道に勃興するや、君、東都にありて、名士の間を往来す。一日余の廬を過ぎ、大いに時事を論じ、痛歎して去る。当時余ひそかに君の気象を喜ぶ。しかるにいまだその文筆あるを覚らざるなり。

すでに西に帰り、信書しばしば至る。書中雅意掬すべし。往時弁論桿闔の人に似ざるなり。去歳の春、始めて一書を著わし、題して『十九世紀の青年及び教育』という。これを朋友子弟に頒つ。主意は泰西の理学とシナの道徳と並び行なうべからざるの理を述ぶるにあり。文辞活動。比喩艶絶。これを一読するに、温乎として春風のごとく、これを再読するに、凜乎として秋霜のごとし。ここにおいて、余初めて君また文壇の人たるを知る。

今この夏、またこの書を稿し、来たりて余に詢るに刊行のことをもってす。よってこれに答えて曰く。この文をもってこの挙あり。なんぞ詢るの用あらん。しかるに詢る。余いずくんぞ一言なきを得んや。古人初めて陳ぶるに臨まば奇功多からざらんを欲す。その小成に安んずるをおそるるなり。今君は弱冠にして奇功多し。願わくは他日忸れて初心を忘るるなかれ。余初めて書を刊して、またいささか戒むるところあり。今や迂拙の文を録し、恬然として愧ずることなし。警戒近きにあり。請う君これを識れと。君笑って諾す。すなわちその顛末を書し、もって巻端に弁ず。

明治十九年十二月

田口卯吉 識

完

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