ある人びとは、「オドラデク」という言葉はスラヴ語から出ている、といって、それを根拠にしてこの言葉の成立を証明しようとしている。ほかの人びとはまた、この言葉はドイツ語から出ているものであり、ただスラヴ語の影響を受けているだけだ、といっている。この二つの解釈が不確かなことは、どちらもあたってはいないという結論を下してもきっと正しいのだ、と思わせる。ことに、そのどちらの解釈によっても言葉の意味が見出せられないのだから、なおさらのことだ。
もちろん、もしオドラデクという名前のものがほんとうにあるのでなければ、だれだってそんな語源の研究にたずさわりはしないだろう。まず見たところ、それは平たい星形の糸巻のように見えるし、また実際に糸で巻かれているようにも見える。糸といっても、ひどくばらばらな品質と色とをもった切れ切れの古いより糸を結びつけ、しかしやはりもつれ合わしてあるだけのものではあるのだろう。だが、それは単に糸巻であるだけではなく、星形のまんなかから小さな一本の棒が突き出していて、それからこの小さな棒と直角にもう一本の棒がついている。このあとのほうの棒を一方の足、星形のとがりの一つをもう一方の足にして、全体はまるで両足で立つように直立することができる。
この組立て品は以前は何か用途にかなった形をしていたのだが、今ではそれがこわれてこんな形になってしまっただけなのだ、と人は思いたくなることだろう。だが、どうもそういうことではないようなのだ。少なくともそれを証拠立てるような徴候というものはない。つまり、何かそういったことを暗示するような、ものがついていた跡とか、折れた個所とかはどこにもない。全体は意味のないように見えるのだが、それはそれなりにまとまっている。それに、この品についてこれ以上くわしいことをいうことはできない。なぜかというと、オドラデクはひどく動きやすくて、つかまえることができないものだからだ。