「明日ある大都市をして、包囲またはそれに類する何等かの災禍に襲わしめよ。諸君は共産主義の思想がたちまちにして実現されんとするのを見るだろう。『パン』の問題、すなわちすべての人に食物を供給する問題が、その都市の緊急問題となって、ある個人の勤労に対する報酬などという問題は影をひそめてしまうだろう。各人の必要は、食料品の共同貯蓄に対して、各人の分け前を要求する権利となるだろう。」
これ、経済学者等が「人はその勤労に従って報われる」という紳士閥的定則をくりかえしつつある間、無政府主義者が年来主張し来たったところである。
今や西欧諸国は禍乱の時期に遭遇しつつある。そしてわれわれは、共産主義的組織観に向う第一歩として共産食堂の観念がいかに急速に各所に瀰漫しつつあるかを見る。
パリにおいて、御者と自動車運転手との労働組合は、共産食堂を開始した。ポポットとは、小飲食店という意味の隠語である。勿論それは、もっともまだほんの小さな仕事には過ぎないのであるが、男と女とによって発意的に営まれたものである。その資力は乏しい。そして目下彼等のなし得るところは、毎日三百人分の昼食と夕食とを供えて、自由食事――払えるものには払ってもらい、払えないものには無代価で――を与えることである。
「もしわれわれの組合に属していない人の細君が、彼女とその子供等のために食事を求めに来たら、われわれはそれを拒むべきであろうか。」これはポポットの組織者等が、それを開始した当日、自ら問うた問題であった。そして彼等の解答は明らかにつぎのごとくであった。「むろん拒んではならぬ。イヤかえって歓迎しなければならない。われわれのなし得ることは、自由食事を求むるそれらの人々がカタリでないという何等かの証明を得ることである。」かくしてその結果、自由食事の半分は日々全然組合とは無関係の人々に与えられている。