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雨月物語

本文約7,900字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

上田秋成が執筆した全九話からなる短編小説集。和漢の古典を典拠としつつ、中世を舞台とした怪異や翻案の物語を展開する。本作は、儒教的封建社会の道徳に縛られない純粋な人間性の解放を主題としており、化身や怨霊の姿を通じて作者の反封建的思想を形象化する。流麗な雅俗混淆文で綴られるその卓越した芸術性は、和漢の古典的教養に裏打ちされた独自の世界観を創り上げ、文学史上類を見ない孤高の境地を切り拓いている。

鵜月洋

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「雨月物語」は、安永五年(一七七六)に出版された、五巻五冊、全九話を収めた、いわば短篇小説集で、著者は上田秋成であり、これを近世小説のジャンルでいえば読本とよばれるものであるが、その文学的性格にそくしていえば、伝奇小説、時代小説、怪異小説、翻案小説などとよんでいいものである。――このアウトラインにしたがって、簡単な解説をこころみておくことにしたい。

「雨月物語」が最初に出版されたのは安永五年四月、半紙本五巻五冊のかたちであった。奥付に「安永五歳丙申孟夏吉旦、書肆、京都、寺町通五条上ル町、梅村判兵衛、大坂、高麗橋筋壱町目、野村長兵衛」とあるように、これは野村・梅村両書肆の合刻本で、ふつう野梅堂版とよばれている。その後、おなじ板木をもちいて、野村と名倉の合刻による再版本、名倉と藤沢の合刻による三版本等が出版されたが、これらはいずれも半紙本五巻五冊であった。

その後さらに大阪の河内屋源七郎を版元とした美濃版三冊の本が出版され、文栄堂版とよばれたが、このほかにもまだ奥付に数軒の書肆をならべた本などがあり、これら美濃版三冊本はだいたい天保以後の出版と推定されている。

すなわち、「雨月物語」は初版以後、幕末ちかくまでに数版を重ねたのであり、そのかたちこそ半紙本五冊から美濃版本三冊にかわったが、すべて一つの板木を用いたものであった。

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