本文へ移動
TORENDIA

韓非子解題

本文約5,900字 ・ 読了時間 約12分

あらすじ(AIが作成しました)

韓非は戦国時代の韓の一族であり、吃音ながら優れた文筆で法制と外交の乱れを諫めた。本書は、孤憤や五蠧などの著作を通じて法家思想を大成し、刑名法術による君主の統治と国家至上主義を論じる。また、古来の道徳と政治を峻別する視点を示し、諸子の学説や社会状況を批判的に考察する。小柳司気太は、これら韓非の思想的背景や秦の政治方針との一致を解説し、後世の注釈書や類似の政治思想であるマキャベリズムとの比較を記す。

小柳司気太

速度
🎧 韓非子解題 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 9

第一 韓非の傳

本書の著者韓非は、韓の公室の一族なり。其の人となり、吃にして辯説に拙なれども、文筆に長ず。李斯と與に荀卿の門に學ぶ。李斯其の才能の及ばざるを以て窃かに之を畏る。當時の氣運は、既に戰國一統の任務を、秦に與へたるの時にして、韓國は日に侵略せられ、其危きこと累卵の如き状態なり。然るに韓王(名は安)は法制を明かにして、臣下を御すること能はず、其の外交政略は、徒らに合縱連衡の説客に動かされて、一定の方針なし。韓非之を傍觀するに忍びず、數ば書を上りて之を諫めたれども、用ひられず。是に於て孤憤、五蠧、説難諸篇すべて五十餘篇を著はす。其文詞雄健峭直にして、頗る人情の機微を穿ち、時勢の肯綮に適す。秦王(始皇帝)偶之を覽て、大に其才を賞嘆して曰く、寡人もし此人と與に遊ぶを得ば、死すとも恨みずと。是に於て兵を發して韓を攻む。韓王始めて非の言の虚ならざるを知り、之を秦に派遣して、交渉の人に當らしむ。秦王之を悦びたれども、外人なれば未だ十分に信用せず。然るに李斯以爲へらく、韓非もし重用せらるゝときは、自己の地位を奪ふに至るべしと。乃ち姚賈と與に韓非を讒して曰く、大王は韓非を悦ぶも、本と是れ外國の臣なり、豈に我秦の爲に利を計るものならんや、さりとて之を本國に追ひ歸へさば、我秦の状況を泄らすに至るべし、法律に照して之を誅すべしと。(姚賈と韓非との關係は戰國策秦策下を見よ)秦王之を聽きて獄に下し、其罪跡を審判せしむ。韓非自ら陳疏せんとするも、李斯は之を隔てて上聞に達せしめず、且つ毒藥を遣りて其自殺を諷す。秦王後に悔い赦命を下ししも、韓非すでに死したり。其年月詳かならずと雖も、大略秦王の十三年頃にして、西暦紀元前二百三十四年に當る。

第二 韓非子の由來

同じジャンルの朗読つきの本