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TORENDIA

赤いえり巻き

本文約3,600字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

田舎から東京へ奉公に出ることになったお花は、姉から贈られた真っ赤なえり巻きを身につけて上野駅に降り立ちます。都会の生活に馴染むにつれ、その派手なえり巻きを恥ずかしく思うようになった少女は、ある日それを捨てて流行の品へと買い替えます。周囲に嘘をついてまで手放した愛着の品と、都会の暮らしを経て故郷へ戻った彼女のその後を、姉の愛情と季節の移ろいとともに叙情的に描きます。

小川未明

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🎧 赤いえり巻き / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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お花が、東京へ奉公にくるときに、姉さんはなにを妹に買ってやろうかと考えました。二人は遠く離れてしまわなければなりません。お花は、まだ見ないにぎやかな、美しいものや、楽しいことのたくさんある都へゆくことは、なんとなくうれしかったけれど、子供の時分から、親しんだ、林や、野や、自分の村に別れることが悲しかったのです。

姉は、かつて、自分も一度、都へいってみたいと心にあこがれたことがありました。しかし、ついに出る機会がなくてすぎてしまいました。そして、もう奉公に出るには、あまり年をとってしまったので、自分は、村に残って圃に出て、くわをとって働くことにいたしました。

「なにを妹に、買ってやったらいいだろう。」

姉は、ひとりで働きながら思ったのです。

たとえ、妹は、華やかな都へゆくのにしろ、家を離れるということは、姉にはさびしいことでした。そして知らぬところへいって、遠くみんなから別れて、一人で生活するということは、どんなにか、心細いことであろうと思われると、妹がかわいそうになりました。

「せめて、いつまでも妹の身につくものを買ってやりたい。」と、姉は思いました。

このとき、そばの林の枝にとまって、赤いいすかが鳴いていました。もう、秋もふけていました。林をおとずれる風は荒く、空の雲ゆきは早かった。そして、ところどころに、青ガラスのような冴えた色が見えたのです。

姉は、この秋から、冬にかけてくる小鳥をめずらしそうに見ているうちに、ふと、心に浮かんだのは、この赤い鳥の毛のような、真っ赤な色のえり巻きを妹に買ってやろうということでした。東京は、雪は、あまりないが、冬は風が寒いと聞いている。外へ用事に出かけるのにも、えり巻きがなくてはならないだろう。赤いえり巻きを買ってやったら、妹も、さぞ喜ぶにちがいないと考えました。

姉は、町へ出ました。そして、洋品店で、赤いえり巻きを買って家に帰り、それを妹に与えたのであります。

「まあ、きれいなえり巻きだこと。」といって、妹は目をみはりました。

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